古今東西、サクセスストーリーは非常に人気が高いように思う。
仕事、恋愛、スポーツと様々なジャンルにおいて、誰しも成功し、人に認められたいという気持ちがどこかにあるからではないだろうか?
そこで今回は、1987年にアメリカで公開された、ビジネスサクセスストーリーである『摩天楼はバラ色に(原題:THE SECRET OF MY SUCCESS)』をご紹介させていただく。
ジャンルはコメディーで、主人公の「ブラントリー」を『BACK TO THE FUTURE』のマイケル・J・フォックスが演じた。
1. 就職先の倒産と大企業への入社
田舎で育ったブラントリーは、大学卒業後、ビジネスでの成功(と女性との出会い)を夢見てニューヨーク(摩天楼)の企業へ就職を決める。
心配する両親を余所に、「ニューヨーク行きのチケットは片道でいい。帰りは自家用ジェットで戻るから」とぬかし、生まれ育った町を後にする。
初出勤日、就職先に出向いたブラントリーだが、そこで会社が倒産したことを告げられる。
初日に突然働き口を失った彼は、様々な企業に面接に赴くも、「経験がないから」という理由でことごとく断られてしまう。
都会の洗礼に絶望していた彼だったが、家を出る際に母親から伝えられた、ニューヨークで働く遠い親戚(ブラントリーの母の従兄弟の旦那の親のはとこ:便宜上、叔父と表記)の名を思い出す。
ドッグフードからミサイルまで、27の業種に及ぶ多国籍大企業の社長である叔父に、「経験がないと断られ続けたが、働かないと経験は詰めない」と力説し、メールボーイとして入社を許される。
2. メールボーイの仕事と2人の女性との出会い
クリスティ(上)とヴェラ(下)
メールボーイの仕事は、郵便物の仕分けと社員への配送が主であった。
メールボーイ達は私服で勤務し、オフィスで働く「スーツ族」との会話を禁じられていた。
これらのことからブラントリーは、メールボーイからの昇進が難しく、会社のコアな事業に参加できないことを感じていた。
それでも何とか上を目指したいブラントリーは、届いた手紙や書類を盗み見ることで、業務内容や会社が抱える問題を把握していった。
夜な夜な会社の課題をまとめるなどして、昇進の足がかりを探るのだった。
そんな中、ブラントリーは重役を務める1人の女性「クリスティ」に一目惚れする。
しかし、立場の差から会話をすることもできず、遠くから眺めるだけの関係であった。
また、ブラントリーはある日、とある女性の1日運転手を命じられた。
その女性「ヴェラ」は40歳ほどであったが、自らの美貌を維持するため、たゆまぬ努力をしていた。
にもかかわらず、旦那には相手にされないばかりか、平然と浮気をされていた。
そんな彼女の悩みを親身に聞いていたブラントリーは、口説きとも取れるアドバイスをしたことでヴェラに気に入られ、関係を持ってしまう。
しかしヴェラは、あろうことか社長である叔父の妻であった。(つまりブラントリーにとって叔母に当たる)
3. メールボーイとスーツ族の2重生活
ヴェラとの関係をずるずると続けてしまう中、ブラントリーはチャンスにめぐり合う。
クビになった社員のオフィスで電話が鳴っていたのだ。
咄嗟にその電話でトラブルの対策を(勝手に)指示したことで、コア事業に(内緒で)関わることになる。
そのため、「ウィットフィールド」という架空の人物を作り上げ、メールボーイとオフィスワークの2つの業務を同時に行った。
無断で重役会議に出席して会社の方針に意義を唱えるなど、大胆な行動を起こしながら、着々とスーツ族としての地位を固めていくブラントリー。
重役であるクリスティとも徐々にと関係を進めていった。
4. 4角関係と2重生活の終焉
仕事に対する考え方の違いから、最初は対立していたブラントリーとクリスティであったが、意見をぶつけ合うことで、徐々に惹かれあっていった。
しかしクリスティは既に付き合っている男がいた。
相手は社長である叔父だった。
クリスティと真剣に交際するため、ヴェラに別れを告げるも、ヴェラは中々納得してくれず、クリスティも叔父との関係を断ち切れずにいた。
そんな中、会社の主催するパーティーで互いの不倫関係と、無断でコア事業に従事していたことがバレ、ブラントリーはクリスティも職も失うことになる・・・
見所
以上が、本作のあらすじだ。
概要だけ見ると、人間関係などがドロドロしてそうに感じると思われるかもしれない。
しかし、実際はコミカルに描かれているため、悲壮感はない。
そんな本作の見所を簡単に紹介したい。
主人公であるブラントリーは、チャンスを掴むために積極的に行動を起こす。
その行動は、勝手に郵便物を見る、社員に紛れ込む、重役に成りすますなど、かなり破天荒なものである。
実際にはありえない行動であるが、その行動力は見ていてどこか爽快感を感じる。
現状に流されるだけでなく、自ら道を切り開くその姿を、羨ましいと感じているからなのかもしれない。
また、この映画はコメディーであることから、随所にシュールな演出が見られる。
美しい女性を見た際に唐突にその女性がドレス姿になる、BGMがアホっぽい、遠い親戚といわれる叔父との関係が本当に遠い等、細かな部分で笑いを誘う。
なお、2足のわらじを履くブラントリーが、エレベーター内で私服とスーツを着替えるシーンはとても印象的である。
「スーツをクリーニングに出しておいてくれ」
まとめ
この映画は、男向けのサクセスストーリーにありがちな、「いいタイミングでいい女を抱いたら昇進できた」という構図そのものだ。
また、主人公を含む主要キャラが軒並み不倫関係を結ぶため、そういったことに嫌悪感を抱く方は楽しめないだろう。
また、随所に「そんなことありえない」という飛躍的な進行を見せるため、細かく考えると納得できなくなる。
あくまで、「おバカ映画」というイメージで視聴されることをお勧めしたい。
ネタバレ防止のため、結末は表記しなかったが、その後の展開も爽快であるため、ぜひとも実際に視聴して欲しい。
私は、仕事に行き詰まりを感じた時や、日々に笑顔が足りないと感じた時に本作を見るようにしている。
何も考えず、登場人物のバカな行動を見て癒されるためだ。
特に、パーティーの夜、4人がそれぞれ夜這いに赴くシーンは飛び抜けておバカ感あふれるためお気に入りだ。
また、細かい部分だが、古い映画であるため、翻訳に時代を感じる部分も個人的に好きである。
「Wall Street Iron Man.(ウォールストリートのアイアンマンよ)」というセリフが、「ウォール街の鉄人28号よ」と訳されていたりする。
現代であれば普通にアイアンマンと訳すだろうし、むしろ鉄人28号のほうがピンとこないだろう。
女性同士が罵り合うシーンも、部外者としてはたから見れば笑える部分だ。
ヴェラの発する「Bitch !」の発音には、毎度にやりとさせられる。
皆さんも仕事が中々うまくいかないとき、「摩天楼はバラ色に」を見てリラックスしてみてはいかがだろうか?
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